独自の技術と100年以上の歴史を持ち、世界中で愛される日本の時計メーカーであるシチズン時計株式会社。
同社は2022年、ヘルスケア事業を担うシチズン・システムズ株式会社とともに、アプリ開発プロジェクトを始動しました。パートナー企業を含む4社横断プロジェクトを支援するツールとしてCacooを導入。その具体的な活用方法と効果について、シチズン時計株式会社のルドルフ氏と入氏、シチズン・システムズ株式会社の浅原氏に詳しくお話を伺いました。
■課題:
・複数社横断プロジェクトで利用できるコミュニケーションツールが必要
■効果:
・共同編集により部署や会社を越えた円滑な意思疎通を実現
・複雑な情報を可視化し、メンバー全員の認識を統一
・充実したアイコンとシンプルな操作性で、AWS構成図の作成がスムーズに
目次
世界的に有名な「CITIZEN」が手がける新事業
―― 御社の事業内容について教えてください。
シチズンは腕時計の部品から、完成時計の組み立てまで自社で一貫製造することができるマニュファクチュールとして、世界約140の国と地域でビジネスを展開しています。国産時計の開発から始まったシチズンの技術は、工作機械、デバイス、電子機器へ発展し、数々の安心と信頼の製品・サービスを生み出してきました。
シチズングループの中で、主にヘルスケア製品の製造・販売を担っているのがシチズン・システムズです。時計事業で培った小型精密技術を活かし、血圧計や体温計、体組成計などの体調管理に役立つ製品を展開しています。
―― Cacooを導入されたきっかけについて、お聞かせください。
2022年頃、ヘルスケア事業において新しい可能性を見つけるために、初めての自社開発アプリ『Health Scan』の開発プロジェクトが立ち上げられました。ところが、シチズングループとしてアプリを内製化するのは初めての経験で、知見が乏しかったのです。そのため、アジャイル開発の豊富な実績とスキルを持つパートナー企業とともにプロジェクトを進めることになりました。
対応機器の測定結果をかんたんに管理できるアプリ“Health Scan”
血圧・体組成・体温データをグラフ表示でトレンドを把握し、集計結果から傾向を確認できる
そこで課題となったのが、複数社横断のチームで利用できる新たなツールの導入です。これまで使っていたツールはセキュリティやアクセス権限の都合上、グループ内であってもアカウントの共有が難しかったのです。
アプリ開発のプロジェクトを進行するにあたり、テキストコミュニケーションだけでなく、システム構成図などを作図して共有できるツールを検討していました。その中で、オンラインで簡単に高度な作図ができるツールとして、パートナー企業に紹介されたのがCacooでした。
シチズン時計株式会社
ルドルフ ヨガ フタマ 氏
―― 初めてCacooを使ってみていかがでしたか?
実は、Cacooのようなオンライン作図ツールは使ったことのないメンバーがほとんどでした。しかし、初めてでも直感的に操作でき、使い勝手も良かったため、導入はスムーズに決まりましたね。
シチズン時計株式会社
入 大祐 氏
複数社横断チームのプロジェクト進行を支えるCacoo
―― プロジェクトにおけるCacooのご活用状況について教えてください。
シチズングループとパートナー企業を含む4社、約30名が関わるプロジェクトでCacooを活用しています。メンバーはプロジェクトのフェーズに応じて入れ替わりますが、企業や部署の枠を越えたチームで構成されています。
インセプションデッキやユーザーストーリー、全体スケジュールなど、プロジェクト進行の基盤となる図はすべてCacooで作成しています。Cacooの活用範囲が広いため、メンバーによって使用頻度や使い方は異なりますが、ヘルスケア開発部のメンバーは仕様共有の段階から活用することが多いですね。
一方、時計開発部のエンジニアメンバーは、主にアプリ実装後にCacooを活用していました。システム構成図の作成や管理にとどまらず、フローチャートの作成など、幅広い用途で利用しています。
リアルタイム共同編集で、効率的な業務フローを実現
―― 実際に活用されて、Cacooのどのような点に価値を感じましたか?
まずは、リアルタイムでスムーズな共同編集ができる点ですね。リリースブランチを作成する際に、チームメンバー数名と初めてオンラインで共同編集を行いました。“相手に編集してもらっている間に、私はこっちの部分をやる”のように、同じシート内の別の部分を同時に編集して進めたのです。「両方で同時に描けるんだ!」と衝撃を受けたことを覚えています。
メンバーが集まって作図しながら進めたリリースブランチ
リアルタイム共同編集で、複雑な内容も認識合わせがしやすい
サクサク共有できますし、使い続けていても動作が重くならない。口頭やテキストでは伝わらないときにも、一緒に図を描いて説明することで伝わりやすくなりますし、頭の中が整理されると感じました。モブプログラミングと同じように“モブワーク”ができるといった印象です。
シチズン・システムズ株式会社
浅原 一葉 氏
―― スムーズな共同編集が、業務の効率化にも貢献しているのですね。
ユーザーインターフェースがシンプルで、誰にでも簡単に使える点も重宝しています。弊社メンバーはこのような作図ツールは使い慣れていませんでしたが、特別な講習をすることもなく直感的に使えたので、学習コストを低く抑えられました。
さらに、Cacooの共同編集機能があるからこそ、レクチャーもスムーズに進むと感じました。最初は、Cacooを紹介してくれたパートナー企業から簡単なレクチャーを受けたのですが、同じ図にアクセスし、共同編集することで使い方を習得できたのです。
―― Cacooを活用することで感じた変化などはありますか?
スライド資料を作成する際のフローが大きく変わったことですね。これまでは、たたき台となる資料を作成し、それをメンバー間でチェックに回しながら更新を重ねていく方法でした。作成の途中で新たな意見が出てきたり、回しているうちに先祖返りしてしまったり、決して効率的とはいえない状態だったのです。
Cacooでスライドを作成するようになってからは、関わるメンバーで資料の全体構成のアイデアを出し合ってから作成に取りかかるというフローに変わりました。まず、「このページのこの部分には、このような内容を書く」といったコメントを「付箋」で貼っていきます。それをベースに資料を作成し始めるので、メンバー間で認識の齟齬がない状態で創り始めることができるのです。まさに、スライド作成の概念が変わったエピソードだと実感しています。
―― それは効率的ですね!エンジニア目線ではいかがですか?
なんといってもアイコンの豊富さですね。特にAWSのアイコンが充実している点が魅力的でした。システム構築図やフローチャートを作成する際、メニューから簡単に呼び出して利用できますし、シンプルな操作性で誰にでも使いやすいツールだと感じています。
テンプレートの種類も豊富なので、フローチャートやガントチャートなどはよく使用しています。まだ使ったことのないテンプレートも多いので、もっと活用していきたいですね。
豊富なAWSアイコンで、システム構成図をスムーズに作成
複雑な情報を見える化し、チームの認識を統一
―― 幅広い用途にCacooを活用くださっているんですね。Cacooを導入したことで、どのような効果を感じていますか?
リリースブランチのような複雑な図をプロジェクトメンバー全員で共有し、共通認識を持つことで理解を深められた点が大きな成果ですね。Cacooを囲んでメンバーと議論を重ね、一つの図を作り上げていったことが印象深いです。
内容をアップデートした際は過去の図をシートに保存しておき、バージョン管理のような運用もしています。現在もCacooで作成したリリースブランチを参考にしながら作業を進めているのですが、これがないとプロジェクトが混乱してしまうんですよ。
無限キャンパスを活用し、壮大なユーザーストーリマッピングを作成
チーム全員が付箋を使って意見を出し合い、認識をすり合わせた
―― Cacooの図を基点にプロジェクトを進めていただいているのですね!ほかの部門でもCacooを活用されていますか?
シチズン・システムズ社内には、アプリに関するバグなどの問い合わせを管理するQAチームがあります。私たちのチームは、QAチームからバグの連絡を受けて検証結果を伝えるのですが、テキストだけでは内容がうまく伝えられないことが多かったのです。
そこで、Cacooを活用しました。バグの事象や検証結果を図解することで、テキストだけでは説明が難しい内容も、よりわかりやすく伝えることができます。
さらに、Cacooは作成した図を画像ファイルとしてエクスポートできるため、回答に図解を添えることで、プロジェクトメンバー以外にも的確な情報を伝達することができました。
アプリの画面遷移図も直感的に作りやすい
共有しやすいので、他部門との認識合わせにも有用
“ファーストペンギン”事業をさらに成長させ、Cacooの活用の場を広げていきたい
―― あらためて、Cacooのどのような点に魅力を感じますか?
Cacooを使うことで、頭の中で考えていることを気軽に可視化し、整理できるところです。こういった作図ツールは初めて使ったのですが、口頭やテキストでは伝わりにくいことも、図にすることで認識のずれなく相手に伝えられることを実感しました。部署や会社の垣根を越えたチームメンバーとの共通認識を持ち、相互理解を深めてくれるツールだと感じています。
Webページの文言確認にもCacooを活用
付箋やコメントを使ってどんどん書き込める
エンジニアとしては、やはり効率的に作図ができる機能が備わっている点がもっとも魅力だと感じています。インターネットを通じて、どこにいても簡単に同時編集ができることは、チームでの業務を円滑に進めるうえで大いに役立ちました。
―― Cacooがアプリ開発プロジェクトを支えていることが分かり、とても嬉しく思います。今後の活用について、差し支えない範囲で教えてください。
今回のアプリ開発プロジェクトは、シチズングループにとっていわば“ファーストペンギン”事業なのです。まずはこの事業を安定的に継続させていき、拡大していくこと、さらには成長させていきたいというのがチームメンバー全員の想いです。Cacooはプロジェクトの中心を担っているツールとして、これからも活用の場を広げていきたいですね。
―― 本日は貴重なお話をありがとうございました!