内製開発支援で企業のDXを推進。KDDIアジャイル開発センターを支えるCacoo活用術

KDDIアジャイル開発センター様

アジャイル開発の導入を支援し、サービスやプロダクトの企画から保守・運用まで一貫して推進している、KDDIアジャイル開発センター株式会社。同社では、フルリモート環境下でのリアルタイムな情報共有を徹底するため、Cacooを積極的に活用しています。

これまでオフラインで行っていた管理手法を、そのままCacooに移行することで、より効率的なチーム連携を実現されています。その具体的な活用方法について、同社で長年開発に携わる須田一也氏と高橋紀成氏に詳しく伺いました。

■課題:
・オフラインでスクラムボードを管理しており、場所や備品の確保に手間がかかっていた
■効果:
・Cacoo上でスクラムボードを管理し、作業や管理のコストが大幅に削減された
・リモートワーク下で、誰もがリアルタイムに情報共有ができる環境が整った
・プロダクトやメンバーに関する情報をCacooに集約し、チームの一体感が高まった

アジャイル開発に徹底的にこだわり、確かな技術力でDXを推進

―― 御社の事業内容について教えてください。

当社は、2013年にKDDI社内の内製開発チームとして誕生し、2022年7月に子会社化しました。現在はプロダクト開発やアジャイル開発の内製化支援などを通して、KDDI社内だけではなくさまざまな企業のDXを支援しています。

アジャイル開発を軸に、サービスデザイン、内製化支援、クラウドネイティブなシステム構築、生成AIの活用などを支援する会社へと事業の幅を広げてきました。

社員の7割がエンジニアで、フルリモートで多様なメンバーと連携しながらプロダクト開発を進めています。円滑なチームワークをアシストするためのポジション「スクラムマスター」を中心に、開発チームの生産性を継続的に向上させる開発体制にも強みがあります。

―― Cacooを導入されたのはいつ頃でしょうか。

分社化する前から導入していますので、利用歴は長いです。2017年には前身のKDDI社内のシステム開発チームが、同様にCacoo事例の取材を受けています。その頃にはすでに、複数のプロダクト開発で使われていましたね。

―― 長くご愛用いただきありがとうございます!現在はどのようにCacooを活用されていますか?

アイデア創出からアジャイル開発の一つの手法である「スクラム」におけるスプリントごとの進捗確認、機能の抜け漏れのチェック、さらには開発後のふりかえりまで、すべてのフェーズでCacooを活用しています。

具体的な例として、電力自由化のタイミングで参入した「auでんき」事業に関するプロジェクトがあげられます。「auでんき」アプリの設計や開発、付随するキャンペーン企画や新機能などの進行管理にもCacooを活用しているんですよ。

KDDIアジャイル開発センター 須田氏KDDIアジャイル開発センター株式会社
プラットフォームエンジニアリング部長
須田 一也 氏

壁やホワイトボードで作成していたスクラムボードを、Cacooでの運用に移行

―― 具体的な活用方法について、詳しく教えてください。

当社では、スクラムのスプリントごとの状況を「スクラムボード」で管理しています。

スクラムチームごとにスクラムボードを作成し、スケジュールやタスク、担当者など、プロダクトに関するすべての情報を集約しています。基本的にはスクラムボードを中心にスプリントの状況を共有しているため、毎日必ず確認する重要なツールです。タスクの進捗状況はこれを見れば誰でも明確に把握できますし、別途報告書を作成する必要もありません。

以前は物理的に壁やホワイトボードに付箋を貼っていましたが、全社的にリモートワークに移行してからは、Cacooを活用してオンラインでの運用をはじめました。

Cacooの無限キャンバスの特長を活かして、チームの決まりごとやスクラムボードの運用ルール、デイリースクラムで話す内容なども掲載しています。これまでの運用とほぼ同じビジュアルを維持したままオンラインに移行できたので、たいへん助かりました。自由度が高く、誰でも簡単に操作できる点も魅力ですね。

KDDIアジャイル開発センター様 以前のスクラムボード以前は壁やホワイトボードに付箋を貼って管理していた

Cacooで作成したスクラムボードCacooで管理しているスクラムボード
タスクの進捗状況や運用ルールなどが一目瞭然

―― まさにオンラインホワイトボードですね!

シートを複製して、スプリントごとに進捗を管理できるのも便利です。必要なフレームワークやテンプレートも豊富に用意されていますし、使いたいテンプレートを背景シートに設定しておけば、すぐに呼び出せるんですよ。

―― スプリントごとの管理に便利なのですね。ほかにも活用する場面はありますか?

アジャイル開発においては、「ユーザーストーリーマップ」が非常に重要な役割を果たします。ユーザーの行動や思考を図式化し、プロダクトの全体像を俯瞰しながら、機能や要件を体系的に整理する必要があるためです。

その「ユーザーストーリーマップ」の作成にも、Cacooが大いに活躍しています。Cacooで図式化することで、各ユーザーストーリーを時系列や優先度に沿って配置し、プロダクト全体で何を優先的に提供すればいいかが明確に理解できるのです。

さらに、詳細情報やチケット管理ツールへのリンクを設定しておけば、個々のタスクの背景や関係も把握しやすくなり、抜け漏れも防げます。また、リアルタイムでの共同編集がスムーズに行えるため、複数のメンバーと共同編集しながら意見を出し合うことで、チームの中で共通理解が得られたストーリーマップが作成できるんですよ。

Cacooで作成したユーザーストーリーマップユーザーの行動や思考を整理する、ユーザーストーリーマップ
複雑な情報を視覚化することで、メンバーの認識を統一できる

システム構成図の作成からふりかえりまで、新しいメンバーでも簡単に使える

―― システムを開発する段階でも、活用されているとのことでしたね。

システム構成図の作成こそ、Cacooの得意分野だと感じています。あらかじめさまざまなアイコンやテンプレートが用意されていますので、サーバー、ネットワーク、データベース、クラウドサービスの複雑なシステム構成を、直感的に作図できるんです。

必要なオブジェクトをドラッグ&ドロップで配置し、線で接続するだけで、簡単にきれいな構成図が完成します。とくに難しいオンボーディングをしなくても、新しいメンバーを含めて誰もが簡単に操作できる点も助かりますね。

KDDIアジャイル開発センター 高橋氏KDDIアジャイル開発センター株式会社
スクラムマスター 高橋 紀成 氏

システムの変更やアップデートがあった際は、シートを複製して変更を加え、過去のバージョンを残しておきます。そうすることで、簡易的なバージョン管理のように利用できるんです。シートごとに固有のURLが発行できるので、特定のバージョンの構成図を共有する際にも便利ですね。

Cacooで作成したシステム構成図豊富なアイコンを活用し、システム構成図を作成

スクラムでは、チームの改善に必要な重要なプロセスとして、スプリントごとの「ふりかえり」があります。Cacooには、多種多様なふりかえりテンプレートが用意されているため、チームのニーズや目的に合わせて最適な形式を選択できます。また、スクラムボードを見ながら実施することで、各スプリントにおける進捗状況を視覚的に把握し、ふりかえりの質を高められるのです。

Cacooを活用したふりかえりテンプレートをベースに、独自の要素を加えたKPTふりかえりシート

業務効率化とチームの一体感が向上。Cacooがチームワークマネジメントをサポート

―― さまざまな場面でCacooを活用されているのですね。活用の効果をどのように感じていますか?

Cacooの活用場面が広がってから、業務の効率化やチームの一体感が格段に向上したと感じています。以前は物理的なホワイトボードでタスク管理をしていたため、会議室や特定の場所を確保する手間がかかっていました。

しかし、Cacooならオンライン上で即座に作業を開始でき、リアルタイムで情報が共有されるため、調整コストが大幅に削減されます。開発のスピード感を重視するアジャイル開発にとっては、重要なことなのです。

また、スクラムチームには社員だけでなく、顧客やパートナー企業など、さまざまなステークホルダーが関わります。Cacooに視覚化された情報を集約し、共有することで、すべてのメンバーが共通認識を持てるのです。

―― チームワークマネジメントの実現につながったのですね。

当社ではフルリモートワーク前提での採用を進めているため、地方拠点での採用活動やワークショップを積極的に行っています。全国各地に所在しているメンバーがCacooを介して同じ場に集まり、同じ情報を共有できることは、チームビルディングの観点からも大きなメリットなのです。

業務に関する情報にとどまらず、メンバーの人となりに関する情報などもすべてCacooに集約しています。そうすることで、新しいメンバーのオンボーディングもスムーズですし、チームへの所属意識も高まるんです。

また、現在注力しているオフショア開発事業においても、Cacooを有効に活用しています。ベトナムを中心とした遠隔地のメンバーとの対面ワークショップでは、事前にCacoo上で価値観マッピングを作成するなど、相互理解を深める取り組みを行っているのです。

国や地域を問わず、より一体感のあるチーム作りのためにも、Cacooを活用したチームワークマネジメントが欠かせないと感じています。

KDDIアジャイル開発センター 須田氏、高橋氏

―― では、最後に今後の展望についてお聞かせください。

これまでエクセルなどで管理していた古いデータも、今後はCacooに移行していきたいですね。Cacooというひとつの場に情報を集約することで、過去の開発資産も含めて参照できる環境を整えたいと考えています。こうすることで、プロダクト全体の透明性が向上し、メンテナンス性の面でも大きな効果が期待できるのです。

これからもCacooをベースにチーム全体の連携をさらに深め、柔軟で効率的な開発環境を築いていくことが、私たちの将来の成功につながると確信しています。

―― 本日は貴重なお話をありがとうございました!

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