ブレストと略されることも多いブレインストーミングには、「意味がない」「非効率だ」という意見を持つ人もいるでしょう。
しかし、効果的なブレストができれば得られるメリットが多く、今でも多数の企業で採用されています。
今回は、ブレストの正しいやり方を紹介します。
そもそもなぜ「意味がない」と言われてしまうのかにも触れるため、参考にしてみてください。
目次
ブレストは意味がないと言われてしまう理由とは
ブレストとは「ブレインストーミング(Brainstorming)」の略称であり、アメリカで考案された会議手法です。会議に参加しているメンバー全員が役職・年齢・所属部署に縛られることなく自由に意見を出し合い、ディスカッションする場として定着しました。特に新しいアイデアを創出したいシーンと相性がよく、イノベーションを起こすきっかけになるとして評価されました。
ブレストが意味のない会議になってしまう理由は、目的と結果のギャップにあります。また、アイデア出しだけを目的に据えてしまうと、ブレストが持つ本来のよさを実感しづらくなってしまうでしょう。
下記で、それぞれ詳しく解説します。
ブレストを行う目的と得たい結果を明確にして行う
ブレストをする目的と、得たい結果との間にギャップを感じた場合、「ブレストは意味がない」と思う人もいます。効果を期待できそうなアイデアや斬新な意見が出てこないことも多く、「こんなはずではなかった」と失望してしまうのです。
まずは、ブレストを何のために実施するのか、目的意識を明確にすることが大切です。前述のように、イノベーティブなアイデアを出すことだけを目的にした場合、ギャップを感じやすくなります。反対に、部門横断型の社内コミュニケーションや部下・若手社員から寄せられる意見の吸い上げを目的としている場合は、ブレストのよさを実感しやすくなるでしょう。
ブレストは、よりよいコミュニケーションが築けるからこそアイデアが出る、という前提を忘れてはいけません。アイデア出しを最初から目的に据えてしまうと、「意味がない」と感じやすくなるため注意が必要です。
ブレストにはアイデア出し以外の効果もある
実は、ブレストにはアイデア出し以外の効果も存在します。
主に「〇〇に詳しい人は誰か把握できる」「組織の価値基準・行動規範を共有できる」点が挙げられるため、下記で詳しく確認していきましょう。
「○○に詳しい人は誰か」を把握できる
複数のメンバーが一堂に会して実施するブレストは、お互いの知識や得意分野を集結させやすい場でもあります。
「この人は最新のトレンドや業界の動向に詳しい」
「この人は法律や法令に関する情報をくまなくチェックしている」
など、誰がどんな知見を持っているか把握できます。
組織内で情報・知見を共有することは「トランザクティブ・メモリー(Transactive Memory)」と呼ばれており、理想的な組織運営手法として注目されています。ブレストをきっかけに情報共有の輪が広がれば、組織力の底上げやナレッジの蓄積が叶います。
日常業務での困りごとに応じて知識のあるメンバーに助けを求めるなど、業務効率化・社内コミュニケーションの活性化にも役立つメリットがあるのです。
組織の価値基準・行動規範を共有できる
ブレストにより、組織の価値基準・行動規範を共有したいときにも役立ちます。
例えばブレストの場で部下や若手社員からのアイデア発信を積極的に歓迎した場合、「役職のない自分でも意見を発信していい」という心理的安全性が育ちます。
誰の意見であっても耳を貸し、例え意見が事業に採用されなかったとしても「発言したこと」自体を肯定する価値観が育っていくでしょう。ブレストの場で繰り返しているうちに価値基準・行動規範が浸透し、社風として確立する可能性があるのです。
価値基準や行動規範やトップダウン型で周知することもできますが、なかなか現場には浸透しないものです。理想的な社風の醸成を意識したいときこそ、ブレストの場が役に立つことを知っておきましょう。
効果的なブレストをする為のルールと進め方
ブレストで前述のような効果(「○○に詳しい人は誰か」を把握できる、組織の価値基準・行動規範を共有できる)を得るには、会議の正しいやり方を理解することが大切です。
そこでここからは、効果的なブレストをする為に押さえておきたい、基本的なルールと進め方を紹介します。
前提となるブレインストーミングのルール
ブレストは、より多くのメンバーを参加させれば高い効果が得られるとは限りません。まずは前提となるルールを押さえ、全体に事前共有のうえで会議を進行することが大切です。
下記で4つのルールを紹介するので、導入してみましょう。
出たアイデアは否定しない
ブレストの場で出たアイデアは基本的に否定せず、傾聴する姿勢をとりましょう。「忌憚なく意見を言ってほしい」と伝えても、経営層・上司・管理職などより立場が上の人から意見を否定されることが続くと、萎縮する人が出てきます。
「どうせ何を言っても否定されてしまうから聞き役に徹しよう」というマイナスインセンティブが働きやすくなり、自己保身に走ってしまうことも自然な反応です。
実現可能性の低いアイデアや突拍子もない意見が出てきたとしても、まずは意見を出したことそのものを歓迎しましょう。否定・批判はすることなく、アイデアのひとつとして受け入れる姿勢が大切です。
アイデアの質よりも量を重視する
質のいいアイデアを出すことが理想であるとはいえ、はじめから質を期待するのはNGです。まずは質より量を意識し、アイデア出しを活性化する雰囲気をつくっていきましょう。
より多くのアイデアが出揃えば比較・検討しやすくなり、発言時には気づかなかった
良さ(悪さ)が浮き彫りになっていくことも少なくありません。どんな些細なアイデアでも積極的に出し合い、そのなかで最も優れていそうなものをピックアップするイメージで進行することがポイントです。
面白いアイデアは組み合わせていく
面白いアイデアがあれば他のアイデアと組み合わせるなど、変化させていくこともおすすめです。単独では実現可能性に欠けるアイデアでも、組み合わせて別の側面から検討すると別の見え方をするかもしれません。
アイデアが出た瞬間に良し悪しを判断せず、会議の終盤に近付いてから他の考え方がないか検討していきましょう。
こうした取り組みは、アイデアを出した側に大きな満足感を与える要因にもなります。「自分の意見を何度も検討してくれる場だ」と感じれば次のブレストに参加するモチベーションが高くなり、より積極的に発言する人として成長してくれるのです。
ブレスト中はアイデアを収束し結論を出そうとしない
ブレスト中はアイデア出しに終始し、無理に収束させたり結論を急いだりしないこともポイントです。
なぜなら、無理な収束・結論出しをすると「結論ありきの議論」になりやすく、通常の会議と役割が同じになってしまうからです。参加者の思考を止める要因となるため、特に注意しておきましょう。
理想的な状態は、ブレストが終わってからも参加メンバーの思考が続いていることです。ふとした瞬間にアイデアが浮かぶような印象強さを残せれば、今後のアイデア出しにも役立ちます。
ブレインストーミングの進め方
ブレストをするときは、前述したルールに基づいて下記の3ステップで進めましょう。
・進行役と書記を決める
・ブレストの目的を明確化する
・新しいアイデアが出なくなるまで続ける
ここからは、各ステップについて詳しく解説します。
進行役と書記を決める
ブレストはさまざまな角度からアイデアが飛び交うため、進行役と書記の存在が重要です。進行役は事前に掲げたテーマから方向性が大きく逸脱していないか、確認する役割を果たします。
また、参加メンバーが忌憚なく意見を出し合えるよう話を振ったり、肯定的な意見を発信したりする役割でもあります。
書記は、一見実現可能性の低いアイデアに思われるものでも全て書き留め、記録します。ホワイトボードなど参加者からも見える場にメモするように工夫し、アイデア同士の組み合わせを促進していきましょう。
ブレストの目的を明確化する
ブレストの目的は、あらかじめ明確にしたうえで全体に共有しておきます。可能な限り具体的なテーマを挙げておけば、アイデア出しがしやすくなるでしょう。
例えば「収益をアップさせる方法」など具体性のないテーマを挙げた場合、議論が混乱しやすくなります。「商品Aの売上を4割増させるためのマーケティング方法」「SNSを使った効果的な商品PR方法」など明確なテーマを決めることが理想です。
どんな効果・結果を求めているのかまで事前周知できれば、より有意義なブレストとなるでしょう。
新しいアイデアが出なくなるまで続ける
ブレストでは、可能な限り多くのアイデアを出すことが優先されます。そのため、新しいアイデアが出なくなるまで続けるのが理想です。途中でコーヒーブレイクを挟んだりある程度アイデアが出揃ったタイミングでグルーピングをしたり、思考をリフレッシュさせながら継続させてもよいでしょう。
場合によっては日時・時間を分けて複数回ブレストするなど、短時間にこだわらないブレストにすることをおすすめします。
まとめ:ブレストをする際にはCacooを使うのがおすすめ!
ブレストをする際は、マインドマップツールも描ける「Cacco」の使用がおすすめです。
「Cacco」は情報整理に役立つオンライン作図ツールでもあり、複数のアイデアやそれぞれの関係性を整理しながらメモしたいときに役立ちます。個人の思考をまとめるシーンでも、書記が活用して現状を可視化したいシーンでも使えるため、汎用性の高いツールだと言えるでしょう。
マインドマップの作成ができれば、後日の振り返りもしやすくなります。ブレストの効果的な手法にお悩みの方は、ぜひご活用ください。