特性要因図は、ビジネスの問題解決の場面において欠かせない手法です。
この記事では、QC7つ道具や特性要因図とは何か、どのように書くのか、使用するメリットなどについて解説します。
使用用途も記載しているため、特性要因図についての知見を深めていただければ幸いです。
目次
QC7つ道具には何があるのか
QC7つ道具として、以下のものが挙げられます。これらはどれも品質管理・改善を目的として使用されることが共通の特徴です。それぞれについて簡潔に説明します。
パレート図
パレート図は、データを適切な項目に分類し、影響度や問題点の大きさ順に並べたものです。これにより、注力すべき項目が分かるようになります。改善前後の違いが分かるようになっているため、品質管理・向上にも用いられます。
特性要因図
図が魚の骨の形に似ていることから、フィッシュボーン図とも呼ばれます。ある問題の原因究明に向いており、結果と要因を結びつけ整理することができます。
グラフ(管理図を含む)
グラフは、データ同士を比較する場合に用いられます。データの推移が一目で分かるようになっています。管理図とは、作業工程の安定度を確認する手法です。異常を起こしている原因を管理できます。
チェックシート
チェックシートは、前もって項目を決めておき、その項目に沿いチェックした結果の内容を表や図でまとめたものです。事実関係の確認や、項目ごとの情報の取得が簡単になります。
ヒストグラム
ヒストグラムは、集めたデータの度数を棒グラフに表したものです。データが何を中心としてばらついているのかを知るために用いられます。どのようにばらついているのかを一目で見たい場合に向いている手法です。
散布図
散布図は、2種類のデータの関係性を知るために使われる図です。点を散らしたように見えるため、散布図と呼ばれます。関係性が強ければ強いほど、図の中央から点が離れるようになっています。
層別
層別は、多くのものを特徴ごとにグループ化させることを指します。問題点を掘り出し、あぶり出すためによく使われます。
特性要因図とは何か
ここでは、特性要因図にスポットを当てて、「特性要因図」とは何か、「使用用途」について解説します。
特性の意味
特性とは、現在問題となっている結果のことを指します。成績や成果の出来具合を表す指標です。特性が起こった原因を考えることが特性要因図の目的とも言えます。そのため、何を特性として考えているか、前もって明確しておくことが必要です。
要因の意味
特性(結果)に影響を与えると考えられる原因のことを指します。要因について深堀りして考えることで、芋づる式に新たな要因が見つかることがあります。重大な影響を与える要因から細かな要因まで幅広い視点で考える必要があります。
改めて考える特性要因図の意味
特性要因図とは、結果がどのような要因によって引き起こされたかを明らかにする図です。完成した図の形から、フィッシュボーン図とも呼ばれます。原因究明や問題への対策を講じる際によく使われます。
問題が起きるたびに特性要因図を更新していくことで、常に最新の原因を究明していけるようになります。また、重要と思われる要因が見つかった場合にはその課題に注力することで、効率的に問題の改善を図れます。
要因を次々見つけていくと、情報が多くなりすぎて錯そうしがちですが、この特性要因図にまとめると、視覚に訴えかける分析ができます。
特性要因図の使用用途
特性要因図には、以下のような使用用途があります。
- 品質管理・向上
- コスト削減
- 作業効率を上げる
などの問題解決に用いられたり、基本的な作業の仕方についてまとめる際にも使われたりします。作業の修正も特性要因図を利用すると、修正点や要因などをすっきりとまとめられます。管理方法や手順についても一目で見て分かるようになっているため、新人の教育にも用いられます。
さらに、不良品が発生した場合や、利用者からクレームがきた場合などの原因究明にも用いられます。対策も講じられるため、全体に共有するとアイデアや問題点がスムーズに出てくるでしょう。
その特性から、特性要因図は製造部門だけではなく研究部門でも用いられることが多いです。また、営業などでも手法を講じる際、営業をかけてもうまくいかない際に使われる場合があります。
特性要因図を使用するメリット
特性要因図を使用すると、以下のようなメリットを得られます。
- 解決したい問題を全体に共有することで、意見を出し合い、知識や課題の整理、全体の意識の向上や意志の統一を図れる
- 特性要因図を作ると、気が付いていなかったメンバーについての知見を深められる(メンバーの経験や保有している技術を書き込むと、新たな知識を得られる)
- 特性要因図を書くためには、工程や課題を把握していないといけない。そのため作業工程の技術や効率がアップすると考えられる
- 課題の解決策を講じる手段となり、全員で作成すればそれだけ違う視点からの解決策が生まれるようになる
- 作成したことで得た知識は資産となり、アップデートを繰り返すことで企業に残り続けます。
特性要因図の書き方
ここでは、特性要因図の書き方について解説します。基本的には「なぜ起こったのか」を突き詰めていく作業となります。
4Mを決める
特性要因図を作成するにあたり、どの項目について深く掘り下げるか考える必要があります。Man、Machine、Method、Materialが代表例として挙げられ、ここではそれぞれについて簡潔に説明します。
- Man(人)…人という視点から、班のメンバーや実際に作業に当たっているメンバーを把握し、メンバーの経験年数や性別、年齢に基づいて要因を分類します。
- Machine(設備)…設備やシステムの視点から、機械の種類や型、ラインについて把握し、新旧などに基づいて要因を分類します。
- Method(方法)…作業方法や作業下にある条件を把握し、ロットなどの視点で要因を分類します。
- Material(材料)…材料の仕入れ先、ロット、材料を受け入れた日や保管場所、保管していた期間などについて要因を分類します。
ちなみにロットとは、同じ商品を生産する際に用いられるものの最小単位を指す言葉です。
フィッシュボーンの背骨を決める
背骨とは、解決したい問題点や課題にあたります。要因を探るために、まずは問題を明確にしておくことが必要となります。この背骨に沿う形で要因・背景を深堀りしていくことになるためです。
背骨にあたる問題点を明確化させたら、ホワイトボードやExcelのシートなどの右端中段に記入しておきましょう。そして後から要因を書き足せるように、太い矢印を課題にめがけて一本引きます。
このとき、できる限り具体的な言葉で、分かりやすく簡潔に記入すると、全体に共有した際に伝わりやすくなります。
大骨を見つける
大骨とは、思いつきやすい要因に当たります。先ほど説明した4Mをベースとして考えるとさらに問題を分類化しやすくなります。4Mのカテゴリーに該当するものは何かを考えると、さらに要因を見つけやすくなるでしょう。
しかし、4Mはあくまで分析の際に多く使われる代表例に当たるため、分析したいテーマや仕事内容によっては変更する可能性があります。要因を見つけたら、背骨に矢印を指す形で記入していきます。大骨については、こちらも太目の矢印を引いておくと図が見やすくなります。
小骨を掘り下げて見つける
小骨とは、大骨を生み出している要因に当たります。なぜ起こったのかという問いかけを繰り返して小骨をあぶり出しましょう。小骨を見つける際に有効な手段は、全体で行うブレーンストーミングになります。この段階で大切になのは、対策と要因を混同しないことです。
あぶり出した要因(小骨)はそれぞれの大骨に矢印を向けて結びつけるようにしておきます。各骨が伸びる始まりの点に、要因を簡潔に書いておきましょう。
さらに問題を掘り下げる
小骨を生み出す要因となる孫骨について全体で考えましょう。小骨をさらに細かくかみ砕き、問題だと言えそうなものをあぶり出していきます。
ここでの孫骨に関しては、無理矢理要因どうしをこじつけてまであぶり出す必要はありません。もし孫骨を見つけた際には、背骨と平行になるように、小骨に向かって矢印を伸ばしましょう。この時にも、要因を矢印の末端に簡潔に記入すると見やすくなります。
一番の原因を特定する
課題に対して最も関連がある、影響度が高いと考えられるものを特定しましょう。最も関連性の深い原因を特定することで、その問題の解決策の考案や対策に重点を置けるようになります。
工程別に数個特定しておくと工程ごとの対策を講じられます。主要因を特定した際には、色付きの下線を引くなどして目立たせると、見やすくなります。
Excelにはテンプレートがある
Excelには、特性要因図を作成するためのテンプレートが用意されています。ダウンロードして活用すると、初心者でも苦なく特性要因図を作成できるでしょう。基本的な書き方をまず習得したい場合は、使用してみましょう。
メンバー全体に共有したい場合は、ホワイトボードに要因を記入した付箋をはっていくなどすると、見やすくなります。大骨、小骨別で色を分けるなどすると、さらに分かりやすい図が書けます。
まとめ
QC7つ道具の1つである「特性要因図」とは、原因究明、課題解決や品質管理・向上などに使われる手法の1つです。少しでも多くの意見を出すため、チーム全体で要因について考えるとよいでしょう。
大骨を考える際に活用するとよい4Mという視点は、仕事内容によって変動する可能性があります。ホワイトボードに記入する書き方もありますが、Excelにはテンプレートがあるため、書き方が分からない初心者はそちらをまずチェックしましょう。
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